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平成17年(2005) |
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69句 累計:179 |
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夫婦岩注連縄張り |
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響灘二見夫婦岩 |
山口県下関市豊北町 |
平成17年(2005)1月2日(日) |
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白ふどし注連張りわたる夫婦岩 |
しろふどし しめはりわたる めおといわ |
White T-back loincloths,
A sacred straw rope hanging
across Meoto-iwa the conjugal rocks. |
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平成17年(2005)1月2日(日)、長門(ながと)の国、山口県下関市豊北町で、響灘(ひびきなだ)二見(ふたみ)で夫婦岩(めおといわ)注連縄張り(しめなわはり)が行われた。この行事は、160年前から毎年正月2日、豊漁と海上安全を祈り、地元二見の男たちが褌一丁の裸形になり、厳寒の日本海で身を清め、大注連縄(おおしめなわ 長さ約30m、重さ約120kg)を張り上げるもので、海に生きる男たちの勇ましさを感じさせる新春の風物詩である。(撮影:ちばあきお) |
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筥崎宮玉せせり |
平成17年(2005)1月3日(月) |
福岡市東区箱崎(はこざき)に鎮座する筥崎八幡宮(はこざきはちまんぐう)で玉取祭(たまとりさい)(玉せせり)が開かれた。(撮影:ちばあきお) |
豊漁豊作・商売繁盛の恵比須信仰にもとづく年始の占いという側面を持つ筥崎宮の玉取祭は、500年ほど前の室町時代に始まったもので神功皇后の三韓遠征の際に竜神が干珠(かんじゅ)と満珠(まんじゅ)を献上したという伝説によるものといわれる。 |
楼門はベニヤ板で囲われ、四角な穴が開けられた入口には神官の顔が見える。 |
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あら玉の水散り走る玉せせり |
Scramble for the ball,
splash of the water,
in the New Year. |
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競り子たちは、最後の力を振り絞って玉を奪い合った結果、今年は陸組(おかぐみ)が神官に宝珠を手渡し、陰陽二つの宝珠がめでたくそろったところで祭りが終わった。陸組が勝ったので、今年は五穀豊穣が約束されることになった。 |
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寒中水浴大会 |
平成17年(2005)1月9日(日)
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本日午前11時から東京都中央区湊一丁目に鎮座する鐵砲洲稲荷(てっぽうずいなり)神社において第50回寒中水浴大会が開催された。 |
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褌を締めて禊の寒の水 |
Wearing a loincloth,
purification ceremony
with water
of the cold season. |
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女性を含む38名が裸になり、中川宮司の号令により櫓漕(ろこぎ)運動などで身体を温めた後境内のキャンパス製の水槽に浸かり、新年の無病息災を祈念した。 |
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氷背に祈る裸の赤き肌 |
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あら玉の水に洗わる身と心 |
Ice on back,
red skin
the naked prayer. |
Mind and body
purified
in the cold water
of New Year. |
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北海道冬の旅 |
平成17年(2005)2月3日(木)〜6日(日) |
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釧路湿原国立公園の西部にタンチョウの里・鶴居村がある。鶴居村は、釧路支庁管内の阿寒郡にあり、 釧路支庁では唯一の村である。 |
鶴居村は、昭和12年(1937)に阿寒町から分村した際、特別天然記念物タンチョウの生息地であったことから「鶴が居る村→鶴居村」と名付けられたという。 |
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甲高き声の木霊す鶴の舞 |
A crane dancing,
the high-pitched voice echoing. |
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鶴見台は、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリと共に鶴居村にある二大給餌場の一つとして知られる。毎年11月頃から3月頃まで150羽前後のタンチョウが餌を求めて飛来するため、大勢の観光客が押し寄せる。 |
鶴降りて静寂を破る鬨の声 |
つるおりて しじまをやぶる ときのこえ |
After landing, the crane raised
a battle cry
broking the silence.
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西大寺会陽 |
平成17年(2005)2月19日(土) |
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2月19日(土)岡山市・西大寺観音院で「西大寺会陽」が行われた。500年の伝統あるこの神事は、岡山県の重要無形文化財であり、寒風のなか、深夜9000人の裸たちが一対の宝木(しんぎ)を争う勇壮な祭祀で、備前の国に春を呼ぶ風物詩となっている。(撮影:ちばあきお) |
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西大寺九千人の会陽かな |
さいだいじ きゅうせんにんの えようかな |
Saidaiji temple,
Eyo the contest for talisman
by nine thousand naked men. |
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千鳥ヶ淵の桜 |
東京都千代田区 平成17年(2005)4月7日(木) |
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午後、皇居のお壕の桜を見に行った。最近NHKは、桜といえば千鳥ヶ淵(ちどりがふち)を真っ先に中継するほどで、都民には非常に人気があり、ウィークデーにもかかわらず、地下鉄東西線・九段下駅からぞくぞくと花見客が押し寄せ、人混みでなかなか場所が空かないほどだった。 |
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散る花の今日の名残を田安門 |
Tayasu-mon gate,
today's remains
of cherry blossoms falling. |
咲くほどに散りゆく花のお壕かな |
A moat,
to which the cherry blossoms fall
as they groom more. |
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青梅大祭 |
東京都青梅市 住吉神社 |
平成17年(2005)5月2(月)〜3日(火) |
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風薫る静御前を見上げつつ |
Fresh breezes of May,
looking up
Shizuka Gozen... |
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平成17年(2005)5月2日〜3日に開催された青梅大祭は、今年も12町会から屋台式山車(だし)12台が青梅街道に繰り出した。9台の居囃子(いばやし)のほか、5体の山車人形が年に一度の姿を見せた。青梅街道は終日歩行者天国となり、爽やかな日差しの中で、見物客11万人がたっぷりと初夏の祭りを楽しんだ。 |
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金棒を手に手古舞の夏祭 |
かなぼうを てにてこまいの なつまつり |
Summer festival
of Tekomai,
a metal rod in hand. |
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残雪の信濃路 |
長野県 平成17年(2005)5月5日(木)6日(金) |
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家内と共に信州信濃の旅に出掛けた。バスは再び高速道路に入り、長野自動車道を北上。途中で一般道に下り、大町温泉へ向かう。バスの左手(西)には田園風景が広がり、その向こうには残雪の北アルプス(飛騨山脈)が続く。何とも雄大な眺めである。 |
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アルプスの水を引きたる植田かな |
Newly planted rice fields,
filled with water from Alps. |
アルプスの嶺の向かふの山雪解 |
Snow melting
on the mountains
beyond the ridges
of Alps. |
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奥穂高雪解の谷を従えつ |
Mt. Okuhotaka,
accompanied by the valley of snow melting. |
今回、標高3776mの富士山と南アルプスの標高3193mの北岳(きただけ)に次いで第3位の標高3190mの奥穂高岳をハッキリと見ることができた。河童橋(かっぱばし)から見た景色が最高といわれているが、まさにその通りで、清流・梓川(あずさがわ)と落葉松(からまつ)林の向こうに見上げる残雪の奥穂高は素晴らしかった。 |
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花水木仰ぎて深し空の青 |
A dogwood,
Looking at the sky blue
of too much deep. |
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ハナミズキは、ミズキ科の落葉高木で、アメリカ原産。アメリカヤマボウシとも呼ばれ、日本からワシントンに贈られたソメイヨシノの返礼として贈られたもの。アメリカの名称は dogwood (ダッグウッド)で、バージニア州の州花。 |
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沖縄美ら海紀行 |
平成17年(2005)5月15日(金)〜18日(月) |
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家内と二人で沖縄本島(おきなわほんとう)と八重山諸島(やえやましょとう)を旅した。 |
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首里城の三線の音春の風
しゅりじょうの さんしんのおと はるのかぜ |
Sounds of sanshin the Ryukyu guitar
at Syuri castle on the spring wind. |
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琉球王国の栄華を残す世界文化遺産の首里城跡(しゅりじょうあと)は、那覇市内で最も高い弁ヶ岳 べんがだけ (167.5m)に連なる標高120〜130mの丘陵地にあり、東西約400m、南北約200mに及ぶ沖縄最大の城跡である。 |
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長閑さや牛車に揺られ島巡る |
のどかさや ぎっしゃにゆられ しまめぐる |
Peacefulness,
going round
an island
jolted on
an ox-drawn carriage. |
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竹富島は隆起珊瑚礁の島で、石灰化した珊瑚の石垣と美しい花々が年中咲き乱れる美しい島である。しばし水牛車で島巡りを楽しんだ。三線(さんしん)のおじさんのガイドがユニークでどことなく寂しげで面白かった。 |
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行く春や白砂に染みる珊瑚波 |
Spring passing,
coral waves sinking into loam. |
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石垣島といえば川平湾(かびらわん)。日本景観100選にも選ばれ、故岡本太郎氏は「いかなる画人のいかなる詩情をもってしてもその表現は困難」と絶賛したという。 |
八重山観光の最後に、石垣空港の西約4kmにある日本最南端の石垣島鍾乳洞に行った。 |
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石筍に雫一滴木の芽時 |
Spring of leaf buds,
a drop of water to a stalagmite. |
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初夏の小倉城 |
福岡県北九州市 平成17年(2005)6月30日(木) |
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小倉城は、JR小倉駅から歩いて15分ほど。朝9時の開園と同時に場内に入り、天守閣はもとより、小倉城庭園や八坂神社も含めて激写した。 |
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夏の庭聳ゆる城の威風かな |
A summer garden, sn awe-inspiring air
of the castle
rising into the sky. |
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夏きざす濠碧潭の小倉城 |
なつきざす ほりへきたんの こくらじょう |
Signs of summer,
Kokura castle
the deep moat
in blue-green. |
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水馬水面の空の交尾かな |
みずすまし みずものそらの こうびかな |
Pond skaters
copulating in the sky
of water surface. |
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小倉城公園の池はミズスマシの天国だった。池の水面に空が映り、二匹のミズスマシが折り重なって交尾中で、厳粛な儀式を見る思いがした。 |
ミズスマシはアメンボ(アメンボウ)の俗称で、「水澄まし」「水馬」と書き、夏の季語。 |
水黽(あめんぼ)はカメムシ目アメンボ科の昆虫の総称。体は細長く棒状で、5〜30mm。脚は長く、先には毛が生えていて水上に浮かんで滑走し小昆虫を捕食する。飴のような臭いを出す。 |
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函館初夏の旅 |
北海道函館市 平成17年(2005)7月11日(日) |
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函館到着時は標高334mの函館山(はこだてやま)に雲がかかっていて、夜景は駄目かと思ったが、その後雲が切れたので、午後9時10分函館駅バスターミナル発のツアーバスで函館山に登った。素晴らしい夜景に感動した。 |
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見下ろせば街の煌めき夏夕べ |
Looking down
the lights of the town
glittering
in the summer evening. |
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夏の空白き聖母の微笑みぬ |
The summer sky,
the white Virgin Mother
smilied. |
青空の聖母 / トラピスチヌ修道院 |
浜薔薇の浜啄木の散歩道 |
はまなすの はまたくぼくの さんぽみち |
The beach
of sweetbriers,
The walking path
of Takuboku. |
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土方の斃れし夏の星の城 |
ひじかたの たおれしなつの ほしのしろ |
Hijikata died in a war
at the star-shaped castle
in summer. |
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道東初夏の旅 |
北海道羅臼町 平成17年(2005)7月20日(水) |
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知床が世界自然遺産に登録されて一週間後に一泊二日の日程で道東に行った。 |
初日、羅臼町のホテル峰の湯に宿泊した。テレビドラマ「北の国から 2002 遺言」で、ロケの一行が泊まったホテルであるという。 |
ホテルの裏は羅臼川が流れており、幸運にも野生の蝦夷鹿に出会うことができ、袋角を蓄えた堂々たる牡鹿を捉えることができた。 |
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知床の険しき山谷袋角 |
しれとこの けわしきさんや ふくろづの |
Growing antlers, steep mountain
gorges
of Shiretoko peninsula. |
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アラリンホルン登頂の旅 |
平成17年(2005)7月22日(金)〜7月31日(日) |
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手配を郵船トラベルにお願いし、夫婦二人でスイス・アラリンホルン登頂の旅に出かけた。
(撮影:沖本陽子) |
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カウベルのカランコロンと夏山路 |
かうべるの からんころんと なつやまじ |
The mountain path,
cowbells ringing clang-clang. |
カウベルの風も優しき夏氷河 |
かうべるの かぜもやさしき なつひょうが |
The summer glacier,
cowbells ringing with the gentle breeze. |
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アイゼンの歩を刻みたる夏氷河 |
あいぜんの ほをきざみたる なつひょうが |
The summer glacier, making
steady progress by the climbing spikes. |
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旅友の背平に迫る夏氷河 |
たびともの そびらにせまる なつひょうが |
The summer glacier, rising
toward the back of traveling friends. |
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我々一行は、ミッテルアラリン展望台でスイス人ガイドと日本人ガイドの2グループ各6人に分かれ、アイゼンを付け、ザイルを連結した。1時間15分ほど歩いてアラリンホルン・コルに到着。 |
岩陰のエーデルワイス夏山路 |
いわかげの えーでるわいす なつやまじ |
The summer mountain path,
edelweiss behind the rock. |
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夫婦して山頂極む夏の天 |
ふうふして さんちょうきわむ なつのてん |
The summer sky, a couple
succeeded in reaching the summit. |
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コルから約1時間でアラリンホルンの山頂(4,027m)に着いた。ここまで登るのは、とても苦しく、山頂に立ってほっとしたと同時に「もう登らなくても良い」という嬉しさがこみ上げてきた。写真上は、我々6人を引っ張ってくれたスイス人ガイドとの記念写真。岩場の山頂はとても狭く、写真を撮るにも大変だった。 |
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鎌倉の蓮の花 |
神奈川県鎌倉市 平成17年(2005)7月30日(土) |
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そろそろ見頃を迎えていることが分かったので、朝4時起きして一番電車に乗り、鎌倉に行って蓮の花を激写してきた。 |
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白蓮の大輪ひとつ平家池 |
びゃくれんの だいりんひとつ へいけいけ |
Heike pond,
A large flower
of white lotus. |
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花の撮影には絶好の曇り空のもと、朝7時半ころ鶴岡八幡宮に着くと、入口の太鼓橋の左右にある源平池(げんぺいいけ)では、既にアマチュア・カメラマンが何人か三脚を据えて蓮の花を撮影していた。 |
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白玉を結びて蓮葉動かざる |
A leaf of lotus
keeps still,
a white drop of dew
emerged on it. |
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鶴岡八幡宮は、寿永元年(1182)に弦巻田と呼ばれる社前の水田3町を池に改め、源平池を造成した。江戸時代には向かって右(東)側の源氏池に3つ、左(西)側の平家池に4つの島が築かれていたが、三は産、四は死を意味し、源氏の繁栄と平家の滅亡を表していたという。 |
光明寺廻廊に座す蓮見かな |
Lotus viewing,
sitting on the corridor
of Komyoji temple. |
鎌倉では珍しい浄土宗の大本山・光明寺は、第四代執権・北条経時(ほうじょうつねとき)が仁治元年(1240)然阿良忠(ねんありょうちゅう)(1199〜1287)を開山として創建した浄土宗関東総本山で蓮見(はすみ)に人気がある。 |
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夏の叡山延暦寺 |
京都府 比叡山延暦寺 |
平成17年(2005)8月11日(木)
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比叡山延暦寺(ひえいざん・えんりゃくじ)は、西に京の都、東に琵琶湖を望む世界文化遺産である。前日大阪で一泊し、朝6時起きして比叡山(叡山)を訪ねた。 |
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釈迦堂の屋根古の夏の空 |
しゃかどうの やねいにしえの なつのそら |
The temple of Buddha,
the roof
of long history
under the summer sky. |
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八重葎阿闍梨の谷の阿迦井かな |
やえむぐら あじゃりのたにの あかいかな |
Thick weeds, the well of fresh water
at the valley
of Ajyari priests. |
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無動寺谷は、はぐれ谷とも呼ばれるように殆ど人影を見ない。参道の無動寺坂を1kmほど下ると、左手に阿迦井がある。行者(ぎょうじゃ)が明王堂の本尊・不動明王に捧げる阿迦(あか 清水)を取る井戸である。更に100mほど進むと、回峰行の根本道場である明王堂(みょうおうどう)に至る。 |
菩提樹の影深ふして風涼し |
ぼだいじゅの かげふこうして かぜすずし |
Deep
is the shadow
of linden tree,
how cool the breeze is. |
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わっしょい!深川祭 |
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富岡八幡宮 |
東京都江東区富岡 |
平成17年(2005)8月12日(金)〜15日(日) |
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夏祭翳す花笠木遣唄
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なつまつり かざすはながさ きやりうた |
Summer festival, Kiyari song shading his face with flower bamboo hat. |
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平成17年(2005)8月12日(金)から15日(日)の間、東京都江東区富岡一丁目に鎮座する富岡八幡宮の3年に一度の本祭りである例大祭が開催され、14日(土)の神輿連合渡御を取材した。古くから深川八幡祭(深川祭)と呼ばれ、江戸三大祭りの一つに数えられている。江戸時代から「神輿(みこし)深川、山車(だし)神田、だだっぴろいは山王様」といわれ、神輿祭(みこしまつり)として名を馳せてきた。 |
担ぎ手の汗一升の法被かな
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Mikoshi carrier's
happi coat
wet with sweat
of two liters. |
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東京都江東区富岡一丁目に鎮座する富岡八幡宮は、寛永4年(1627)永代島(えいたいじま)周辺の砂州一帯を埋め立て、約六万五百坪(20万m2)の社有地を得て創建された江戸最大の八幡神社で、「深川の八幡様」と親しまれてきた。祭神は応神天皇(誉田別命 ほんだわけのみこと ) 外八柱である。 |
江戸時代には、源氏の氏神である八幡大神(はちまんしん、やはたのかみ)を尊崇した徳川将軍家の手厚い保護を受け、明治維新に際しては准勅祭社になるなど、今日まで繁栄してきたが、特に、庶民の信仰は、江戸時代から現代に至るまで変わることなく受け継がれ、毎月1日、15日、28日の月次祭は縁日として賑わいを見せている。 |
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神輿舁く笑顔の女の乱れ髪 |
みこしかく えがおのひとの みだれがみ |
Unkempt hair
of the smiling girl
carrying a portable shrine
on her shoulder. |
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祭りの掛け声は「ワッショイ!」だと思っていたが、神田祭や三社祭など東京の祭りは「セイヤッ」に変質してしまっている。嬉しいことに、この深川祭は、日本の伝統の掛け声である「ワッショイ!」を守っている。 |
棒端の祭褌朱一本 |
ぼうばなの まつりふんどし しゅいっぽん |
Festival fundoshi loincloth
of
the chief carrier,
a sash of crimson. |
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アジャンタ遺跡 |
インドデカン高原 平成17年(2005)8月 |
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アジャンタ遺跡は、インド西部、アウランガーバードの北東約100kmにある仏教遺跡で、ワゴラー川の浸食によって大きく湾曲する断崖の南壁に、未完窟も含めて大小30の石窟があり、世界文化遺産に指定されている。(撮影:丹下誠司) |
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夏草や仏のおわす虎の穴 |
なつくさや ほとけのおわす とらのあな |
Summer grass,
Buddha dwells
in the tiger's dens. |
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北舟の日記 |
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2005年8月15日(月)/東京 二年前の盆休みに句集のコメントを記載してもう2年経つ。今日、300句を超えたため、一集を50句単位にしているので、第七集を追加した。最近は、毎日100人前後のゲストがあり、俳句も手を抜けなくなった。 |
五年間でアクセス5万件を超え、リピーターも増えている。写真に説明文を加え、BGMを設定し、俳句を挿入するという作業は、大変だが、馴れてしまうと結構楽しいものだ。 |
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下手な俳句も、たまには自己満足できるものが増えてきた。何より、英訳を施すことで、俳句の意味がより鮮明になり、深みを増してくるように思う。 |
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英訳も最近はコツを覚え、どう訳して良いか分からないようなことはなくなった。英訳できないような句はあり得ないし、あったとすればそれは悪首なのだろう。俳句に写真と英訳をつけ、解説する。このような構成の句集は、未だに私以外には存在しない。 |
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「海の風景」というタイトルも、陸に上がった河童となってしまった今では、ふさわしくないかも知れないが、せめてカバー写真だけでも海の風景を入れて続けていきたいと思う。どこまで続くか分からないが、「継続は力なり」を信じて、やれるところまでやってみたい。 |
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エローラ石窟寺院 |
インド アウランガーバード郊外 |
平成17年(2005)8月22日(月) |
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西インドの世界遺産では、やはり、アジャンタ遺跡と並び賞されるエローラ遺跡が有名。アジャンタ遺跡が壁画なら、エローラ遺跡は、石窟と浮き彫りに特徴がある。(撮影:丹下誠司) |
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夏野原廃墟の岩屋巡る旅 |
なつのはら はいきょのいわや めぐるたび |
Summer field,
a journey to the cavern temple of ruins. |
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エローラ遺跡は、3つの宗教窟が集まって構成されており、番号を打たれた窟で34、それ以外の小窟を合わせると計70余の石窟が南北1.5kmに点在している。 |
涼しげに眠れる女神岩の中 |
すずしげに ねむれるめがみ いわのなか |
The goddess |
sleeping pleasantly cool |
in a rock. |
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彫り掛けの顔。岩の中から今にも出て来そうな女性の顔である。時間が千年止まったようで、エローラの撮影の中では大好きな一枚で、ここに紹介させて頂だいた。 |
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秋のカナディアンロッキー |
平成17年(2005)9月30日〜10月7日 |
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2005年秋の8日間、家内と二人でクラブツーリズムのツアーに参加し、カナダに旅した。バンクーバーから始まる全行程はこれまでに経験したことがないほどの好天に恵まれ、ロマンと感動の素晴らしい旅を全うすることができた。 |
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朝寒や見知らぬ山の一万尺 |
Cold morning, three thousand
meters
the strange mountain. |
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古の氷河の水を飲み干しぬ |
いにしえの ひょうがのみずを のみほしぬ |
I gulped down
the water
of ancient glacier. |
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遠く来て踏みし氷河の幾万年 |
After a long trip,
I set foot
on the glacier
of eternity. |
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コロンビア大氷原を擁するアサバスカ氷河の入口に着いたときには、晴天となり、ロッジの二階で昼食後、韓国のツアーグループと共にシャトルバスでアサバスカ氷河に行き、雪上車に乗り換えて氷河に降り立ち、クレバスに近寄らないように注意しながら、つかの間の氷上散策を楽しんだ。 |
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エメラルド氷河の削る湖の色 |
エメラルド ひょうがのけずる うみのいろ |
Emerald,
the color of the lake
with rock flour
the glacier eroded. |
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岩山の峰くれなゐに今朝の秋 |
Deep red
the ridges
of rocky
mountains, this autumnal morning. |
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うねりゆく原生林の照紅葉 |
Bright autumn leaves
of the virgin forest
undulating. |
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岩山の裾を飾りし黄葉もみぢ |
Autumnal tints
of yellow leaves
decorating the foot
of the rocky mountain. |
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モントリオール北部に広がるローレンシャン高原は、標高1000m前後の山々が連なり、数千、数万ともいわれる大小の湖沼が点在する高原地帯である。スキー用のゴンドラに乗ってトレンブラン山頂まで上がり、ツアー弁当を食べながらローレンシャン高原の見事な紅葉を楽しんだ。 |
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大地削く滝の轟音ナイアガラ |
だいちさく たきのごうおんる ないあがら |
Niagara
the roaring sound
of the falls
eroding earth. |
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轟音も頭に浴びる滝見船 |
ごうおんも あたまにあびる たきみぶね |
The fall watching boat
bathing also
the thundering sounds
on heads. |
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ポンチョ着て直下に迫る滝見船 |
ぽんちょきて ちょっかにせまる たきみぶね |
Wearing ponchos,
the watching boat
approaching
right under the falls. |
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ナイアガラの滝は、1678年にフランス人宣教師に発見されて以来、観光化され、毎年、世界中から観光客が集まる。先住民がつけたナイアガラ「雷鳴のとどろく水」という名の滝は、やはり先住民の言葉で「美しい水」という意味のオンタリオ湖に注ぎ、やがてセントローレンス川となり、沿岸のメープル街道の大自然の生命を育んでいる。 |
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2005年10月20日(木)千葉県船橋市に鎮座する船橋大神宮で奉納相撲が行われた。四百年前の江戸時代から続く伝統の宮相撲は、戦後落ち着きを取り戻した昭和25年(1950)に再開され、今年で55年目になるという。 |
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木漏日の宮相撲はや四百年 |
The ritual sumo match
already passed
four hundred years
under the sun
streaming through
the leaves of trees. |
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午前11時、幼児によるこども相撲のあと、まわし(相撲褌)一本の選手たちが東西に勢揃いして個人戦の競技が始まった。今年の参加者は50名で、その内40名が地元自衛隊関係者。10名が部外からの参加者という。出場者名簿を見せてもらうと、木更津市から連続15回参加した人がいるほか、東京大学相撲部の名もあった。 |
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秋の箱根路 |
平成17年(2005)11月6日(日)から8日(火) |
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2005年秋、家内と共に2泊3日で箱根路を旅した。箱根は、東京、横浜に近い景勝地であったため、明治以降多数の外国人が訪れるようになり、道路や道などの交通網の整備に伴って国際的観光地として発展した。 |
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粧ひの山の向かふに富士の嶺 |
よそおいの やまのむこうに ふじのみね |
The peak of Mt. Fuji
beyond the mountains
of colored leaves. |
八千草や昼なほ暗き山街道 |
Lots of autumnal grass,
Dark
is the
mountain road
even in the daytime. |
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秋の湖富士の嶺白き赤鳥居 |
あきのうみ ふじのねしろき あかとりい |
The autumnal lake, |
White
is the peak of Mt. Fuji, |
Red
is the Torii gate. |
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箱根は、神奈川県南西端、足柄下郡(あしがらしもぐん)の町で、人口約1万6千。箱根山古期カルデラの外輪山内側一帯を町域とし、全域が富士箱根伊豆国立公園に含まれる。 |
芦ノ湖やひときは高き秋の富士 |
The Lake Ashinoko, the autumnal
Mt. Fuji
stands out
high above. |
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芒原風も息する銀穂波 |
すすきはら かぜもいきする ぎんほなみ |
The meadow
of Japanese pampas grass,
The wind also breathes
waving
the silver heads. |
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仙石原は、箱根カルデラ北西部に広がる標高650m前後の高原である。台ケ岳の裾野に広がる仙石原は、千石の米の収穫を願って名付けられたが、生えてきたのはススキばかりなので、ススキの名所になってしまったという。ススキの草原を維持するために、早春には山焼きが行われる。夏にはグンと伸びた緑の葉が風にうねり、秋には陽差しを浴びて金や銀に穂波が輝く。 |
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秩父夜祭 |
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秩父神社 |
埼玉県秩父市 |
平成17年(2005)12月3日(土) |
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平成17年(2005)12月3日(土)、埼玉県秩父市に鎮座する秩父神社の例大祭である秩父夜祭に行った。今年は土曜日と重なり、天候にも恵まれて過去最高の315,000人の人出だった。 |
秩父路や腕に自慢の冬太鼓 |
Chichibu region, a taiko drum
performed by a skillful guy
in winter. |
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秩父盆地は埼玉県の最西端に位置し、その中央部を荒川が北流している。荒川の河岸段丘に発展してきた秩父市は、南北に細長い街である。その南に土地の人たちから秩父嶽(ちちぶだけ)と呼ばれる標高1,304mの武甲山(ぶこうさん)が聳え、秩父地方のシンボルとなっている。 |
雪洞に浮ぶ秩父の冬屋台 |
ぼんぼりに うかぶちちぶの ふゆやたい |
The winter wagons of Chichibu region
standing out by paper-covered lamps. |
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秩父神社(妙見(みょうけん)様)の女神と武甲山(ぶこうさん)(蔵王権現)の男神が年に一度お旅所(秩父公園の亀の子石)で逢瀬(おうせ)を楽しむ祭りが秩父夜祭である。京都・祇園祭と飛騨・高山祭と並ぶ日本三大曳山祭の一つで、江戸時代の寛文年間(1661〜1672)には祭りが存在していたといわれ、300年余りの歴史がある。 |
毎年12月3日には、豪華な下郷(したごう)・中近(なかちか)の2台の傘鉾(かさほこ)と、宮地(みやじ)・上町(かみまち)・中町(なかまち)・本町(もとまち)の4台の屋台(やたい)が昼夜にわたり秩父屋台囃子の太鼓のリズムにのって目抜き通りを巡行する。夜7時から始まる神幸祭(しんこうさい)では秩父神社から約1km離れたお旅所まで巡行してクライマックスを迎える。 |
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千穂の夜神楽 |
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下川登神楽 |
宮崎県臼杵郡千穂町 |
平成17年(2005年)12月3日(土) |
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宮崎県は「神楽(かぐら)なしでは夜の明けぬ国」であり、現在でも県内の200ヵ所以上で様々な形の神楽が行われている。高千穂の夜神楽はその代表格であり、国の重要無形民俗文化財に指定されている。(撮影:上平 明) |
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夜神楽や年に一度の神懸かり |
よかぐらや ねんにいちどの かみがかり |
All-night kagura,
religious frenzy happensonce a year. |
高千穂の夜神楽は、毎年晩秋から翌年の早春にかけて開催され、平成17年(2005年)度は、11月19日(土)から翌年2月10日(土)まで、高千穂町内19地区で開催された。 |
女帯襷にかけて里神楽
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おんなおび たすきにかけて さとかぐら |
A village kagura,
kimono sleeves
tied back with lady's obi. |
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高千穂に伝承される夜神楽は、俗説的には、天照大神が天岩戸に隠れたおり、岩戸の前で天細女命(あまのうずめのみこと)が舞ったのが始まりとされ、すでに平安時代初期には、神楽の原形が存在していたと考えられている。 |
神面の心眼で舞ふ里神楽 |
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神楽宿雲を降して大団円
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しんめんの しんがんでまう さとかぐら |
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かぐらやど くもをおろして だいだんえん |
A village kagura
wearing God mask
with dancer's mind's eye. |
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A kagura lodge,
happy ending
by putting down the clouds. |
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江戸時代までは高千穂神社の祝子*(はふり)たちに伝承され、神社で奉納されてきた秘伝であったが、明治以降土地の指導者の下で広く郷内の各地区で舞われるようになり、今日のように民家などで行われるようになった。 |
*祝子:神に仕えることを職とする人の総称。 |
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